Ym Toursが運営するガイドサービス会社『ヤムナスカ・マウンテン・ツアーズ』において、ガイドとして働くためのステップの一例をご紹介します。
カナダの国立公園、および州立公園内でガイド業を行うためには、様々な資格が必要です。ハイキングから本格的な登山までの商業ガイディングに対して、その行動別に必要な資格が分かれています。ヤムナスカ・マウンテン・ツアーズでは公園局が指定する最低限の資格以上のものをガイドに要求し、ガイドの育成にも力を入れています。
私たちが最も重要視している資格は、ACMG(カナダ山岳ガイド協会)のガイド資格です。ACMGガイドになるには80時間以上のウィルダネス・ファーストエイド資格、一般レベル以上の登山経験が必要となります。
ACMGガイド試験に申し込むには、カナダでの登山経験が重要視されます。これまでの山の経験を書いた履歴書を作成し、協会に申請します。その後、書類審査を通過すると実技試験を受けることができます。
当社のマウンテンスキル・セメスターは、ガイドになるためのプリ・トレーニングとして、ACMGから認められています。ACMGのハイキングガイド資格を取得するためには、ハイキング以上の登山経験が必要なため、セメスターで登山の基礎から学ぶことはお勧めです。実際にヤムナスカ・マウンテン・ツアーズで働く多くのガイドは、セメスターの卒業生です。
当社はガイド試験前の見習い期間を設け、ガイド育成を行っています。日本人ガイドの多くは、セメスターを優秀な成績で卒業した者の中から選ばれ、就労ビザを取得した後、見習いガイドとして働き始めます。
1年ほどは純粋にカナダの山を登りながら、同時に見習いとしてガイド業を手伝い、先輩ガイドから技術を学びます。
シニアガイドが協会に推薦状を書くことによって、書類審査に通りやすくなることもあります。外国人である日本人がACMG資格を取ることは、決して簡単なことではありません。日本語を話すガイドの需要はこれからも続きますので、志の高い方に頑張ってほしいと思います。
フォーマルな登山技術を学んだことのない方に、お勧めのコースです。ACMG資格を所持したインストラクターから、最新の登山技術を学びます。10年以上、我流で山登りをしてきた方が、卒業後に山への向き合い方が劇的に変わったと言っていたのが印象的です。ガイドになりたい人へは、とても良い基礎技術の構築となることでしょう。
セメスターには80時間の野外救急法コースが含まれますが、これまで十分な登山経験や、他国のガイド資格を持っている方でも、野外救急法の資格は必須です。国立公園によるトレイルガイドの規約は、数日で取れる簡単な救急法ですが、当社ではその資格で山をガイドするには不十分と考えています。できればスキーパトロールなどの実地経験があると望ましいです。
1997年に発足したインタープリティブ・ガイド資格は、バンフ国立公園局の後押しで始まりました。目的は公園における歴史、動植物の生態系、国立公園のマネージメントなどを、公園利用者へ正確に伝えることです。国立公園の良き理解者を増やし、自然保護を広めるという目標を持っています。当社はこの試みをサポートし、ガイドにコースの受講を義務付けています。
ガイド業には、車の運転を伴う仕事が多くなるため、クラス4と呼ばれる商用自動車免許が必要になります。また、当社の規定では、例えクラス4運転免許を所持していても、25歳以上にならないと運転業務は任せていません。日本の普通運転免許を所持し、十分な運転経験のある方であれば、それほど難しくはありませんが、健康診断と学科および実技の試験を受けることになります。
以上が終われば、見習いガイドとしてのポジションを得ることができます。見習いガイドのポジションは、セメスター卒業生が優先になることをご理解ください。見習いポジションは、簡単なトレイル上のハイキングガイドから始まります。講習中で学んだことを、さらに膨らまして、様々な勉強をしてもらいます。通常は1年の見習い期間を過ごした後、ACMGのコースに申し込みます。
これまでの登山経験を活かし、どの領域の山岳ガイドになりたいかを決める必要がありますが、収入に直結できるハイキングガイドは、最も人気のある資格です。ハイキングガイド資格で最も重要な要素は、クライアント・ケアとルート・ファインディングです。ヘリを使って未開地へ入ることもある仕事ですので、ルート・ファインディング技術は最重要なスキルとなります。